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【レビュー】 五重塔 (小説)

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出版社: 岩波書店
著者:  幸田露伴

この本も最初に開いたときは購入を躊躇した本でした。
文体がいわゆる現代のものではないので、内容を理解するので一苦労...。
と思っていましたが、読み始めると面白いのです。
そうなぜか読めてしまっているのです。
正確には読めているというより、「物語を追っていける」かな。

主人公は 
大工の十兵衛。
腕は確かなんだけど仕事が丁寧すぎるがゆえゆっくりぎみ。
そのため「のっそり十兵衛」と仕事仲間から呼ばれています。

そして大工の棟梁 源太。
類まれなるカリスマ性をもち、また十兵衛の仕事の確かさも理解しています。

そして五重塔建立を発注してくるお寺の大僧正。

主な主人公はこの3人。物語は大僧正が五重塔建立の要請を 
大工の棟梁 源太に持ちかけてくるところから始まります。
五重塔建立の話を聞きつけた「のっそり十兵衛」は、直接 大僧正のもとに行き
自分に立てさせてほしいと懇願しに行きます。
しかし、すでに源太にお願いしている話だといわれます。
ならば、お互い話し合って決めなさいと大僧正からの提案。
しかしお互い譲らず、話が進展しない。それならばと大僧正が「兄弟の話」を二人に
聞かせ、そのまま帰らせます。(この兄弟の話も いい話です)

「兄弟の話」をお互いに考え、大僧正の真意は何だったのかを自問自答します。
そしてなんとお互いに謝罪し、譲り合い、またケンかになるという奇妙な展開になりますが、
このあたりの「お互いに相手の立場を思い、妥協点を探していく」展開もググッと
読みこんでいける箇所です。

そして最後の大嵐。
この箇所の描写は嵐の凄まじさをドラマティックに猛々しく表現しています。
日本語の表現力を再認識。というより発見に近い。

by green_feels | 2005-12-15 02:31 | レビュー、感想など